悪いコの味方!


駆け寄ってハンカチを差し出すと、受け取ってくれた。



「甘えていたのはあたしの方」

「ちが…」


そんなことない。



「彩夜架ちゃん。ましのんに、ちゃんと気持ちを伝えてね。大事なものをぜんぶ守るなんて身がもたないよ。…ましのんを選んで誰かに責められても、ゆるちゃんと、あたしが、傍にいてあげる」



ぎゅっと抱きしめられる。

あたたかな鼓動。
やわらかな花のにおい。


「うん……ありがとう」


わたしにだってちふちゃんと出会って変わったことがある。お互いさまだ。

そして支えられようとしている。


「私もふたりの傍にいるよ」


ゆるるも肩に手をまわしてくれた。たまに男前だよね。


ひどいことをしていた。

そのことを自覚した時、ちゃんとしてねって言ってくれる人がいた。

それがうれしい。


わたしもそういう人でありたい。

伝えよう。


まとまらなくても、まだわからないことだらけでも、叶わなくても…大事にしたい気持ちだから。


でもその前にまだやらなきゃいけないことがある。


次の日、朝からみゆたんとマキマキとはおりんに放課後の収集をかけた。気まずそうにしながらも了承してくれた。


またヒビを入れるのは……もしかすると割ってしまうのはわたしの気持ちでかもしれない。

それでも言わなきゃ。

自己満足だとしても、言わないより、いい。


ホームルームが終わった。

緊張して、今にも泣きそう。そんなわたしにゆるるが「大丈夫?」と声をかけてくれた。大丈夫。大丈夫だよ。ちゃんと言いたいもの。

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