悪いコの味方!
みゆたんたちのもとへ行こうとしたら、美亜子ちゃんが教室の外から呼んできた。
どうしたの、と振り向くと興奮した様子で中に入ってきて飛びついてくる。
「彩夜架ちゃんカレシできたんだね!」
「……へ?」
突然の言葉に一瞬戸惑う。
「えっと…わたしに彼氏なんて夢のような話だよ?」
「えー!でも正門にいる他校生が彩夜架ちゃんを待ってるって言ってたよ?カレシじゃないの?」
「誰だろう…今日は誰とも約束してないと思うんだけど…」
そう言いつつ携帯を見ると牡丹くんから「やっぱりちゃんと話したいから今日会えないかな?」「とりあえず学校に行くね」と連絡が入っていた。
体育だったから気づかなかった。
今日はみゆたんたちと話したい…けど学校まで来てくれてるからどうしよう…と迷っていると、1年の頃同じクラスだった友達たちがぞろぞろ中に入ってきた。
「彩夜架!こんなかっこいいカレシができたなんて聞いてないっ」
「おめでとうー!恋できたんだね!念願だったもんね」
きゃっきゃと甘い香りに囲まれる。奥には困り顔の牡丹くんがいた。
「え、牡丹くん、来ちゃったの?」
「彩夜架、人気者だね。名前出したら連れてこられた…急に来てごめん。ちゃんと話したいことがあって」
「あ、メッセージの返事できなくてごめんね。これからわたしも友達と話があって…」
「なら今言わせて」
真っ直ぐな視線。
この前会った時に握られた手の体温を、思い出してしまった。
「心配ごとがたくさんあって不安なら…俺にしない?」
あの日深く聞かなかった牡丹くんからの好きの意味が、わかった。