悪いコの味方!
ため息を長くつく。
一番嫌な思いをしたのは、もしかしたらはおりんかもしれない。傷つけた人はこの3人だけじゃない。
真篠くんを好きになるってそういうことだ。
「彩夜架は、こういうとき友情を選ぶと思ってた」
「………っ」
「誰より友達が好きな彩夜架が、恋愛で人と揉めるなんて思わなかった」
鼻の奥がツンとしたけど、奥歯を噛んで、耐えた。泣いたらだめだ。そんな立場じゃない。
「友達が何より大事だったから…どちらか選ばなきゃならない恋ならしないほうがマシだって思ってたよ」
まんがや小説、ドラマや映画。
作りもののお話のなかで、主人公たちはいくつも選択をしていく。
自分の大切なものを失ってまでする恋って幸せなのか疑問だった。
「だけど…初めて人を好きになって、」
そして初めて、自分も選択するんだと知った。
「これが恋なんだなあって思って…大事なものが増えただけなの」
それはそんなに悪いこと?
理解したいと思っていたことを理解することができた。
知りたいと思っていたことを知れた。
「ごめん。はおりんを巻き込んで、本当にごめんなさい。応援してとか味方してとか理解してとか、思わないから…」
ううん。本当は思っていた。
みんなはわたしのことなら、ゆるしてくれるんじゃないかって。
恥ずかしい。
裏切った人、ゆるすわけない。
「ましのんに泣かされたら、ちゃんと頼って」
ぽん、と優しいちからで肩を叩かれ、ひとりで教室に戻っていく。
この屋上で、みんなで毎日ごはんを食べた。寒い日だってひざかけを使って、温かいスープをみんなで飲んだ。
毎日、みんながいたから楽しかった。