悪いコの味方!


我慢していた涙が溢れてくる。

流しちゃだめだと上を向く。晴天がまぶしい。


わたしが、友達を傷つけた。
今までの何もかもを壊してしまった。

ぜんぶを大事にするとか、ぜんぶからゆるされるとか、そんなの綺麗事だし甘えだ。


悲しい。

もう仲良くなれないのかな。

一緒に出かけられないのかな。

話せないのかな。


それでもね。憧れていたの。恋をすること。両想いになること。それからする数々のこと。真篠くんと、それをすること。


真篠くんじゃないと、いけないの。彼がいい。



「…大丈夫? 彩夜架」


三角に立てた足から顔を上げるとゆるるがいた。


「大丈夫だよ。授業は?」

「始まってるけど、心配で。みゆちゃんとマキちゃん帰っちゃったし、彩夜架は帰ってこないし」

「ごめんね、サボらせて」

「…泣かないの?」


その言葉に頷いた。泣く資格ない。本当は、みゆたんたちをなぐさめる役目がしたいくらいなのに。


「さやを好きになるってこういうことだよ」


諭すような目。


「今まで彩夜架が大事にしてきたものも、関係も、ぜんぶなくなるかもしれない。人気者な彩夜架はそうじゃなくなるかもしれない。そういうやつなんだよ」



きみってモテるんだね。

なんて、そんなものじゃない。


「でもわたし……もう真篠くんが他の人に触れるのは見たくない…」


嫌。すごく嫌。だから邪魔してた。


「ゆるる、わたし、酷いよね」

「仕方ないよ。それがきっと恋だもん」



どうしても零れた涙ひとつぶは、ゆるるが優しく拭ってくれた。

失った。いろんなもの。


それでもまだわたしにはたくさんある。

大切に、したい。


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