悪いコの味方!


そのあとはずっと授業をサボってゆるると話していた。


真篠くんは、ゆるると出会った頃は根暗でぜんぜん話してくれなかったとか。

小さい子供が好きとか。

甘いものは好きだけどごはんの甘いものは食べられないとか。

寒がり。虹を見て感動する。施設に住み着く野良猫を一番可愛がっている。アイコンにしてるもんね。


いっぱい知ってるね。

わたしもこれから、たくさん知りたいな。


「彩夜架、今日牡丹とも話すんでしょ」

「うん。知ってたの?」

「さやが心配してた」

「牡丹くんが変なことしてくるはずないのにね」

「ちがうよ。彩夜架が、牡丹も傷つけた…って悲しむのが嫌なんだって」



ちがう意味でとらえてた。そうだったんだね。

悲しめる立場じゃないよ。


「そっか」

「牡丹なら大丈夫だよ。きっと、あの場で言ったのもさやに行動させるためだったと思うし」


そうなんだ。牡丹くんは真篠くんが大好きだなあ。


「あいつからしたら計算どおりよ」

「ふふっ。ゆるるって人の気持ちをちゃんと理解しようとしてて、好きだなあ」


友達になってくれてよかった。

白い手を、思わずすがるように握ってしまった。


「ゆるるは…本当に本当に真篠くんのこと好きじゃないんだよね?」


不安が漏れていたんだろう。ゆるるがけらけらと笑いはじめる。笑い事じゃないの。ゆるるまで傷つけていたらどうしよう…って。



「大丈夫だよ。さやのことは、恋愛じゃないから」


安心する。

屈託なく仲良くしてくれるみたい。


「さやに傷つけられたり、牡丹や他の友達とのことだったり、辛くなったらちゃんと言うんだよ」

「ありがとう…ゆるるがいてくれてよかった」


ひとりになるのは、ちょっとこわい。

今までずっとみんなが一緒にいてくれたから。


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