悪いコの味方!


それからも視線がたくさん突き刺さった。

息を吐く。

真篠くんと付き合うということ。
それを実感する。


教室に入ると騒がしかったその空間の温度が一気に冷めた気がした。



あ、心臓、速い。

緊張と申し訳なさと、恐怖。


何事もなかったように歩いたけど、今まで教室に入った瞬間みんなから言われていた「おはよう」がないことが、すでにつらかった。

ゆるるはまだ来てない。

ひとり。


「彩夜架!」


呼びかけられた。うれしくて期待して振り向くと、不安をにじませた表情をしたゆいぼんたちがいる。

つくづく甘いなあ。いつもの挨拶や他愛のない会話で呼ばれたわけじゃないことを悟る。



「ましのんと付き合ってるの…?」



“好きならそうなんだろうねえ”と、理解もせずにゆいぼんたちからゆるるを庇った。

何様だったんだろう。


「うん。付き合うことになったよ」

「好きだったの?そんな素振りなかったよね。うちらの味方してくれたこともあったよね」


ゆいぼんたちと真篠くんの写真を撮ったりした。


「気づいたのは最近なの。…でもずっと好きだったと思う。いつも真篠くんのこと気になって目で追ってた気がするの」

「何それ…裏切りじゃん……彩夜架のこと好きだったのに。友達だと思ってたのに。自分のこと優先する人だとは思わなかった」


……きついなあ。

わたしだって、とても好きだよ。



ぐっと手を握りしめる。


きっとわたしは絶対にみんなに悪いことをしている。


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