悪いコの味方!
頭を下げた。巻く気分にもなれなかったストレートのままの髪は重力に忠実で、気持ちわるい。
悲しい。
「ごめん。わたしの行動で、たくさんの人を傷つけて、怒らせてる人も泣かせちゃった人も苦しんでる人もいるってわかってるの」
陰で泣いてる人。
こうして間違っていると教えてくれる人。
これから、もう本当にぜんぶ失うんだ。
「そんな人にはなりたくなかった。誰よりも何よりも周りの友達を大切にする人になりたかった。…それに、自分はそういう人間だって思ってた。だからみんながわたしに失望してもしょうがないって思う。わたしがみんなだったらもっと責めたてていたかもしれない。みんなのこと…本当に好きだから」
大事に思う気持ちは変わらないのに。
「だけど真篠くんのことも、好きなの。好きになったの。それから…他の人には感じない、わたしのものになってほしいって、そういう気持ちがあるの。叶わないって思ってたことが…たぶん叶っているの」
欲なんて初めて。
恋ってかなりこわいね。
みんなずっとこんな気持ちを自分のなかで抱えてきていたんだ。
やっと解ったのに。
誰もわたしのこの恋を望んでいない。
「裏切って…ごめんなさい。」
それならわたしくらい、望んだっていいでしょう。
「本当。……ましのんにフラれた日より悲しい」
そう言ったのはみゆたんの声だったけど、わたしは目を合わせることもできずに、ただ自分の席についた。
こんなに泣くのを我慢したの、初めてだ。
女ってヤバーって、のんきな男の子が教室に響かせたのを、ただぼんやり聴いていた。