悪いコの味方!


学校がある最寄り駅から3駅先にショッピングモールがある。彼が言った街ふらふらする、というのは此処でするらしい。

素晴らしいよ。ちょうどお給料が入ったところだし気に入った何かがあれば購入しよう。



「どっか入りたいところあったら言って」

「じゃあ早速!2階に好きな洋服屋さんがあります!」

「楽しみそー」



うん、楽しい。たまにくる此処が別の場所になったみたい。

エスカレーターを乗る時、背中を軽く押されて先に乗らされた。振り向くと真篠くんを見下ろせた。


「いつもと違って真篠くんがわたしより小さい…エスカレーターってすごい」

「すごいって口癖だったっけ?」

「ううん。真篠くんといるとすごいと思うことがいっぱいなんだよねえ」

「ふうん」


言いながら降りる。もっと長ければよかったのに。



「このお店だよ」


わたしの服の好みはどこかに特徴のあるカジュアルなデザイン。袖がぽよんとしていたり、襟のカットがめずらしかったり、色が鮮やかで綺麗なもの。柄は花柄とチェックは好きだけどあまり着ない。

このお店はそういうアイテムが多くて入ると絶対何着か欲しいものが出てきちゃうんだ。


「あ、これ似合いそうだし好きそう」


真篠くんが手に取ったのはわたしが雑誌で見て気になっていたもの。


「本当すごい!」

「当たりだった?」


首が取れそうなくらい頷く。

試着してみよう。


「試着するならこっちも着てみて。これも気になる」

「トレーナーだ」

「こっちの、こういうスカート。前にバイト先で映画観た時履いてたじゃん。あれと似合いそうだから」

「わかった。履いてくるね」


なんだか真篠くんもわたしに負けじと楽しそうじゃない?よかった。

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