悪いコの味方!


ゆるる以外とは誰とも話さないままお昼休みになる。昨日もそうだった。

ちふちゃんはわたしのこと鈍感だって言うけど、誰にも話しかけられない空気くらいは感じ取れるらしい。


「彩夜架、学食?」

「うん。行こ」


ゆるるは本当に優しいなあ。

そう思いながらお財布とかを準備していたら「彩夜架ちゃんゆるちゃん学食ならあたしも行くー」と柔らかい声が教室に入ってきた。



「ちふちゃん…」



びっくりした。だって、こんなふうに話しかけてくれるなんて思っていなかったから。


「なあに、口開けてぼんやりして。見惚れた?」

「…アイシャドウもしかして新色?」

「めざとい!でも気づかれるとうれしい!そう、これを見せたくて来ちゃったー」


あ、だめ。泣きそう。だめ、泣いたらだめ。


「ましのんも行くー?」

「や、おれはいい」


ちょっと真篠くん、きみはどうしてそんなすっきり話せるの?肝のちがい?


3人で学食に向かう。新色のアイシャドウの話をたくさんしてくれた。ラメ感がちょうど良い冬限定色。おそろいで買ってもいいって。買います。


学食はほとんどの人が来るからにぎわっている。今まで買ってみゆたんたちと屋上に行ってたから昨日初めてこの室内で食べた。



「で、ましのんとはどう?」



ふつうの顔で聞いてくる。

ちふちゃんが食べるとラーメンって太らないんじゃないかって錯覚しそうになるね。



「昨日放課後買い物したよ。楽しかった。あとユッケ寿司食べに行ったおいしかった」


「あれ気になってた~。あたしも今度行こっと」



ゆるされたわけじゃないんだろうな。

でも一緒にいてくれるんだなあ。


< 192 / 351 >

この作品をシェア

pagetop