悪いコの味方!
「そういえばゆるちゃんは恋のほうどうなの?進展なし?」
え。あ。ゆるるの好きな人聞くのずっとわすれてた!というか言ってくれない!
「ないよ。期待もしてない」
「ゆるるの好きな人って誰なの?」
「……え、この子まだ気づいてないの?鈍感すぎるね」
「それが彩夜架の良いところだから」
何その話。鈍感ってどうしたらやめられるの?誰か教えて。
でも真篠くんじゃないんでしょう。
「彩夜架、言ってなくてごめんね。私の好きな人はもうずっと牡丹なの」
……事件だ。
「え!真篠くんだと思ってた!」
「もう。みんながみんな彩夜架みたいにさやを好きになるわけじゃないんだよ」
なるほど。恋って人それぞれだね。
牡丹くんかあ。優しくて、よく笑ってくれて、爽やかで。わたしの恋も応援してくれて……。
「あれ。わたし……ゆるるのこと、悲しませてたんじゃ……」
恋愛経験がないとか、好かれたことがなかったとか、恋する気持ちを知らなかったからとか、気づかなかったとか。
そういう理由って使えない時がある。使っちゃいけない時が、ある。
今はきっとそれだ。
「そんなことないよ。牡丹だってもう私の気持ち気づいてるし、彩夜架のせいじゃないでしょう」
だめだ。訊ねたらそう言ってくれる、言わせてしまうって、なんでわからないの。
「だからわたしに教えてくれなかったの?」
「教えなかったわけじゃないよ。でも気にされるより気にされないほうが良くて。ごめんね」
「……」
「牡丹のことはほとんどあきらめてるの。ほかに好きになれる人がいつか現れてくれたらうれしいなーって思ってるくらいなんだから」
「そうなの…」
「うん。だからそんな顔しないでよ」