悪いコの味方!


「おはよー。あんた何してるの?」

「おはよう。昨日買った食材でお弁当作ろうと思って」

「お弁当?作れるの?」

「作れる気がしないから、これにしようと思ってる」


お母さんに写真を見せると手伝うよ、と言ってくれた。ふたり並んで野菜を切って、お肉を焼いて、準備を進める。


「どうしたの急に」

「ちょっとお礼が言いたい子たちがいてね。普段しないことで伝えたくて考えた結果です」

「そうなの。じゃあお母さんも気持ち込めて手伝うね」

「ありがとー」


みんな喜ぶかなあ。変なふうにはなってないと思うんだけどね。味見もしたけどおいしかったと思う。


「何人にあげるの?」

「3人だよ」

「へー。みゆたんたち?」


そっか。3人って言ったらそう思うよね。

淋しい気持ちになってしまった。本当は渡したいよ。傍にいてくれるって当たり前のことじゃなかったんだ。


「ちがうの。ゆるるって大和撫子みたいに柔らかくて優しい子と、ちふちゃんって読者モデルもしてる美人さんと、真篠くんってかっこいい子」

「男の子?めずらしいね」

「かっこいいのー。わりと大きい目がね、笑うといつもなくなるんだよ。それをお腹を丸めて隠すように笑うの。肌は綺麗で、声は低いの。性格は一言じゃまとめられないけど一緒にいると楽しいんだよ」


思い出しただけで顔が緩む。早く会いたいなあ。


「そう。楽しそうね」


うん。でも楽しいことばかりじゃ、ないの。

人のこと傷つけちゃった。

楽しんでいいのかなって思うけど…それは反省とは違う気がするから、思わないように意識してる。正解なのかはまだわからないままだけど。


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