悪いコの味方!
軽くラッピングをして、一応保冷剤を入れたランチバックに入れた。
「喜んでもらえたらいいね」
「うん。お手伝いありがとうね。行ってきます」
待ち合わせぎりぎりになっちゃいそう。足早に駅までいそいで、真篠くんのもとに行く。
「おはよう」
「おはよう真篠くん。今日はスニーカーなんだね」
「そっちこそ見慣れないバック持ってるね」
良く気づくなあ。
「今日一緒にごはん食べない?ちふちゃんとゆるるも誘いたいの」
場所はどこがいいかな。
教室はちょっとハードルが高い。
「いいけど…いいの?」
「良くないなんてことないでしょ。ごはん買うならちょっと軽めにしてね」
「ふうん。わかった」
きっと勘づかれてると思うけど秘密にすることでもないよね。大層なものじゃないし。
「は!そうだ…真篠くん。ついにゆるるの好きな人を知りました」
「あー、ゆるも言ってた」
仲良しだなあ。ゆるるが彼を好きじゃなくて良かったとは思う。
「悲しませたよねー…」
「ま、あいつがはじめに言っておかなかったのが悪いし、言わなかったのは意図してだと思うし、おまえほど気にしてないと思うよ」
わたしが気にすると思って牡丹くんと会うの避けさせようとしていたのかも。わかりづらいけど、ゆるるのこと言いふらすわけにいかないもん。しょうがなかったんだね。
「…じゃあ、気にしすぎないようにする」
「うん。それでいーよ。今まで通り」
それでいいのかな。
何かできることはないかな。
だって昨日、初めて恋の話をした。聞いてもらった。憧れていたこと。ゆるるとちふちゃんがいなかったら誰にも聞いてもらえなかった。憧れは叶わなかった。
せめてものお返しを。
ランチバックを、ぎゅっと握った。