悪いコの味方!
もしかしてまずかった?ただの腹ごしらえ的な感じで仕方なく食べてたりして…。
「ちょっとましのん、彼女が感想待ってるよ」
「え、あ」
しどろもどろ…。疑いの目を向けると、アーモンド形の目がこっちを向く。
「おいしい。トルティーヤって手作りできるんだな」
感心したようにつぶやく。
おいしいって。
「よかった…まずいのかと思っちゃった」
「こういう感じの手作りとか初めてしてもらったから、うれしくて」
どういう感じのならもらったことあるの?バレンタインのお菓子とかかなあ。うれしいって思ってもらえてよかった。
「ところで何のお礼?」
何もわかってなさそうな顔で聞いてくる。
きみって無自覚なのかな。
「いろいろ。理由はたくさんだよ。まあ、作りたかったから作ってもらわれたって思っておいて!なんだか恥ずかしくなってきちゃった!」
「…へんなやつ」
む。そのへんなのと付き合ってるのはきみなのに。
「また作ってほしい。気に入った」
「うん!今度ピクニックしよ!」
「もっと暖かくなったらね」
確かに…寒い。屋上より寒いのは日陰だからかもしれない。
みゆたんが持ってきていたスープを分けてもらってなんとか寒さを凌いだ。
当たり前のように、次や先の約束ができることが、こんなにうれしくてすごいことだって初めて知った。
寒くなったら手を繋ごう。あとどれくらいでそうなるんだろう。暖かくなったらピクニック。早く暖かくならないかな。そのころには理由をつけてもらわなくたって自分から手を繋げるようにまで成長していたいかも。