悪いコの味方!




一緒に帰ろうと約束した日、午後になると雪が降り始めた。

積もらなそうだけど空気は凍りそうなくらい冷たい。



「彩夜架ちゃーん。ねえちょっと悩み聞いて!」


授業と授業の合間の休み時間に来るなんて相当急ぎなことなんだろう。

ちふちゃんが教室の外から顔を覗かせた。


「どうしたの?」

「今日ポーチの中身特集の撮影に行くんだけど、このラインナップならこっちのチークと…こっちどっちが合うと思う?」


写真で見せられたのはコーラルピンクとピンクアーモンドのチーク。

その周りはアイシャドウやリップ、マスカラたち。

悩む。これは悩む。ぜんぶ塗ってみたちふちゃんを想像する。たぶんちふちゃんもわたしと同じでお化粧で一番最後に塗るのがチークなんだと思う。



「…あ!ちょっと待ってて」


駆け足で自分の席に戻ってポーチを漁る。たしか持ってきてるはず…あった。


「使いかけでいいんだよね?これはどうかな。もうちょっと赤っぽくしたほうがリップと下まぶたのシャドウに合う気がする…」


こんなに意見して平気かな。なんて不安はちふちゃんの顔を見てすぐに消えた。


「ありがとう!そうだね!これ貸して…というか私のものってことにしていい?」

「もちろん。よかった」

「わ~~~やっぱり彩夜架ちゃん、色を組み合わせするセンスがあるよね。相談してよかった。しかもプチプラチーク!これなら真似してもらえそう」


うれしそう。きらきらしてる。ただポーチの中身を出すんじゃなくてしっかり考えていてプロだなあって思う。

ちからになれたみたい。


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