悪いコの味方!
階段を降りているとその先の下駄箱前で、ちふちゃんが美亜子ちゃんたちに囲まれているのが見えた。
有無を言わずずかずか行こうとする彼のことを引き留める。…嫌な予感がした。
「みゃーこ、こわい顔してどうしたの。これから撮影だから明日じゃだめ?」
「…ちふ。他クラスの子から聞いたけど、彩夜架ちゃんのことなんでゆるしてんの?意味わかんない」
予感は的中。わたしのことだった。
真篠くんがこっちを見たのがわかったけど、なんだか見返すことができない。
「べつにゆるすとか、そういうのじゃないよ。応援してるわけでもないし」
「だったらなんで…」
「応援してなかったら一緒にいちゃいけないのかな。あの子たぶんあたしたちに味方になってほしいとかは望んでないと思う」
「嫌じゃないの!?あたしは……目障り。ふたりが隣にいるのとか見たくない」
──── 目障り。
がつんと、殴られた気分。
そう思っている人が、あと何人いるんだろう。
できることなら知らないふりをしたかった。
「…でも、仕方ないじゃない。好き同士が一緒にいないほうが不自然でしょ」
「だけどっ」
「たくさん考えたよ。もう仲良くしないって思ってた。彩夜架ちゃんに意地悪することとか考えちゃった。でも考えて…わかったの。ましのんの代わりはもしかしたらいるかもしれないって。…淋しいとか悲しいとか甘えたいっていう貧しい思いを分かち合ってくれる人。だけど彩夜架ちゃんの代わりは、あたしには、いない気がしたから」
真っ暗闇のなか。
そこに生まれた、ひとつの光みたいな。
そんな言葉だった。