悪いコの味方!


信じられない。カノジョの頼みはオトナキラリしかしてあげない、意味不明な彼はもういないらしい。


「じゃあ、開ける…!」


わあ…楽しみ。うれしい。イヤリングだと失くしちゃうから、ピアスならそんな心配もない。



「うん。ならお母さんとお父さんに開けてもいいか聞いといて」


身体に穴を開けるから…ってこと?


「平気だよ?」

「だめ。平気じゃなかったらどうすんの」


きみはけっこう、ちゃんとしている。


「わかった…」

「じゃあ買ってくるから貸して」

「え!わたしが真篠くんのほう買いたい!」


両方買おうとするから困る。こういうのは平等がいい。


「ふうん。ありがとう」


こっちがありがとうだよ。
なんだか、わたしばっかり喜んでいる気がするなあ。

キーケースだって自己満足だったかも。もっとちゃんと、きみが欲しいもの、知っておけばよかった。


そう思っていたけど、そんなことはなかったかもしれない。



甘い甘いミルフィーユとバニラのマカロンとホイップクリームがのったいちごとチーズのスムージーを飲んでご満悦そうな真篠くんを見てそう思う。


「うれしい?」

「最高。このスムージーが特においしい。飲む?」


最高って言ってくれたことに喜びたいのに、向けられた1本のストローに焦る。

断る理由、ないよね…!


「い、いただきます」


がんばれ。がんばれがんばれ。ただのストローだ。真篠くんが使った…ただのじゃないストロー。

どう意識しないようにしても意識してしまう。


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