悪いコの味方!
だけどこの手を放さなきゃ叶わないなら、もう、そっちに伸ばせる手はない。
「ひどいって思われたっていいや。だって好きになっちゃったんだもん」
誰もいなくなったわけじゃない。
きみがいる。ここにいてくれる。それなら、もうしょうがない。
「けど…」
「真篠くんとわたしは、ふたりで恋をしよって決めたでしょ。だったらどちらかが悪いなんてことはこの先にひとつもないんだと思う」
ひとりで悩まないで。悲しまないで。わたしだって同じ気持ちなんだよ。
「ふたりにしか守れない気持ちなら、守ろうよ」
恋って思った以上にむずかしかった。
悲しいこともうまくいかないことも不安になることもいっぱいあって、時々自分が自分じゃないみたいな感覚になる。
友情と恋で、恋を優先する人間だなんて思っていなかった。
そんな恋ならしないほうがいいって思ってた。
でも、してみないとわからなかった感情を知って…手放したくないって思った。
その結果がこれなの。
自分に正直になった、その結果。
人のことを考えてないだけかもしれない。自己中心的だって言われたら何も言い返せない。でも、それでいいとさえ思う。
おかしいのかな。間違っているのかな。
それなら正解は要らない。
握った手のちからが抜け、真篠くんの腕が背中にまわった。
「ありがとう」
ちからが込められる。
彼が自分の過去を消したいと思っていることが伝わってくる。後悔しているんだ。いろんな恋を傷つけちゃったこと。