悪いコの味方!
「今更イイコチャンしてたってしょうがなくね?」
口が悪くなっているよ真篠くん。
「べつにイイ子ぶろうと思ってるわけでもなくて…だけどわたしたち気を遣える場所ではそうしようってことで…」
「だいたい悪いことしてないし、気遣うとか面倒」
悪いことはしてないけど。わたしもそう思ってる。でも。
「いや面倒がっちゃいけないところ…」
「いいから帰ろーよ。映画の時間になるよ」
「…あ!本当だ」
いそいで支度を進める。
あとでちゃんと話そう。とりあえず迎えはいらない。悪いことをしてるわけじゃないのにそんな気分になってしまう。
「急いでる時に悪いんだけど、彩夜架のこと呼んでる人が外にいるから」
「マ、マキマキ…!」
話しかけられた。びっくりした。すぐに行っちゃったけど。お礼も言えなかった。
ドアのほうを見ると、すずらんより金…というよりブロンドの髪の男の子がブンブンと手を振っている。
「えっと…誰だ?」
うわばきのつま先の色が赤いから新入生だ。ちなみにわたしたちは緑。
「あいつ同じ中学だったけど、知り合い?」
真篠くんが聞いてくる。首を振ると、すずらんが「景絃けいと」とつぶやいた。
聞き覚えのある名前。記憶を手繰り寄せると、見覚えのある髪色。でこぼこが整った顔立ち。
「もしかしてけーとくん…?」
呼びかけるとぱっと表情が明るくなった。
「さやちゃん!久しぶり!」
小学生の頃によく遊んでいた2つ年下の男の子。久しぶりでびっくりした。