悪いコの味方!
駆け寄ると記憶とは違い背が高くなっていた。でも近づくと面影がある。ミントのような瞳。
「わあ…久しぶり。けーとくんだ。元気にしてた?」
「会いたかった~」
ぎゅっとハグをされる。すぐに離れたけど。海外のあいさつ。
「さやちゃんこそ元気だった?」
「うん。わたしがこの学校にいるって知ってたの?」
「進路決めるときに買った分厚い本の制服のページにさやちゃんが載ってた」
…あ。1年生の時に学校に頼まれて写真を撮ったやつだ。
「それ見てもう一度会いたくてこの学校に決めたんだ」
「そうだったんだ。覚えててくれたなんてうれしいな」
なぜかわたしに懐いてくれていた可愛い、弟みたいな子。また会えるなんて思っていなかった。
「そりゃ覚えてるよね。オレの初恋、さやちゃんだし」
「……へ!?そうなの!?」
「うん。今もあの時以上に好きって思う子いなくてさ」
ぜんぜん知らなかった。小学生の頃から好きな人がいるってすごいなあ。
「だからさやちゃん、もしよかったらオレと付き合ってください!」
……え。
後ろで教室中が騒ぎ始めている。目の前が白黒した。
「突然でごめん!でも、会ったらやっぱり好きだなーって思ってきちゃって」
そういえばけーとくん、すごく素直な子だった。感情を口に出すから、一緒に遊ぶと楽しくて。
でもわたしの中では引っ張り出してやっと出てくるような思い出で。
「えっと…ごめん。けーとくんのことは弟のように思っていたし、恋ではなくて」
「だよねー。じゃ、これからそう思ってもらえるようにがんばるから!」
ポジティブ!そしてなぜか腕を組まれる。