悪いコの味方!


「とりあえず校内のこと教えてほしい!それで思い出話しよ?」


それはちょっとしたい気もする。でも今日は予定があるのです。


「けーとくん、それはまた…明日はバイトがあるから、明後日とかはどうかな?今日は映画を観に行く予定があるの」

「わかった。じゃあ明後日絶対ね!」


うーん、あの頃と変わらない笑顔が可愛いくて癒される。


「うん」

「ウン、じゃねーよ」


腕と腕を第三者に引き離される。



「は!真篠くん待たせてごめんね」


映画の時間が迫っている。もしかすると次の回を観たほうが良いかもしれない。


「いや待ってるのはいいけど、なんで断らないの?」

「あ、えっとね真篠くん。けーとくんは小学生の頃に仲が良かった子で、確かに思い出話するのは楽しそうだなあって思って」

「それじゃなくって。…鈍感すぎ」


うわ、最近のわたしのNGワード!鈍感と無自覚。

自分のきらいなところ。


「この人、おれと付き合ってるからあきらめて」


肩を引き寄せられる。

なにこれ…もしかしてすごい展開なのでは。真篠くんの声がいつもより低い。

自分の顔が熱い。


わたしのことをあきらめてってきみが言う。

それってこんなにうれしくなるんだ。


「え。さやちゃん、真篠清香と付き合ってんの?心配なんだけど」


思いがけない言葉だった。そういえば同じ中学だって言ってたっけ。お互い目立ちそうなふたりだ。


「心配は大丈夫だよ。けんかとかまだしたことないし」

「それはこの人がさやちゃんと向き合ってないからじゃないの。この人のせいで泣いてる女の子たくさん見てきたし」


それはごもっともなので否定できない…。


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