悪いコの味方!


疑いの目を向けられる。


「えっと、でもわたしは泣かされてないから、とにかく大丈夫だよ」

「それにさやちゃんのこと他人みたいに呼ぶし」


指摘がなかなか鋭い。真篠くんも黙っちゃった。


「それはべつに良くて」

「本当に付き合ってるの?真篠清香、さやちゃんのこと本気で想ってる?」


きみ、信用がなさすぎるね。これからがんばっていこうね。



「心配いらないって……」

「すげー好きだから安心して」


ひええ。後ろからぎゅっと抱きしめられる。

みんなが見てるのに。でも、この行動は疑いを晴らせるんじゃないの。どきどきして仕方ないけど耐えてみせる…!


「名前だって呼ぶ練習してるし…」

「…え!本当!?どんな練習!?」


練習が必要なくらい呼びたくないくせにがんばっているらしい。


「どうたっていーだろ。もう帰ろ」

「うん。映画次の回にしよっか。けーとくん、明後日は校内めぐりしようね」


かばんを持ってきてくれていたからそのまま並んで帰る。


彼はわたしのこと、すげー好きらしい。

魔法の言葉みたい。



「もしかしてバレンタインあげたやつが樋高ひだか 景絃?」


そうだ、その話はしていたね。


「うん。変わってなかったなあ」


わたしが転ぶとなぜかけーとくんが泣いて痛がっていたっけ。あの頃はわんぱくだった。

心配されたのもそういうふうに年上っぽい振る舞いが小学生の頃にできていなかったからかもしれない。これからはがんばろう。


「ふうん」


真篠くんの不服そうな表情にも気づかず、わたしはちょっとずつけーとくんとの思い出を頭の中に浮かべていた。


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