悪いコの味方!




「あんまりあいつと仲良くなるなよ」


これはもしかして俗に言う嫉妬なのでは?

なんて思っていたけどそれは違ったみたい。


教室の前で金色の髪がふたりで話しているところに声をかけると、昨日仲良くなったはずのすずらんはあいさつもなく中に入ってってしまった。



「おはよー。さやちゃんのクラスに璃藍先輩もいるんだね」

「同じ中学校だったんだっけ?」

「そうそう。璃藍先輩、中3の時に付き合ってた男の人がすごいこわくて、見かけた時助けたことあるんだー」

「そっか、確かけーとくん武道習ってたもんね」



泣き虫なのに似合わないってよく思ってたなあ。けっこう強いって聞いたことがあった気がする。


それにしてもすずらん、こわい人と付き合ってたとかちょっと不安。もう大丈夫なのかな。



「あ、鐘鳴った。もっと話したかったのになあ…。さやちゃんと同じクラスになりたかった」


あ、それ。聞き覚えある。


「けーとくん、小学生の時もよく言ってたよね」


「だって好きだったから」



頭を撫でられる。前はわたしが撫でる側だったのになあ。

ばいばい、と明るく言い残して自分の教室に帰って行った。少しだけ見送って席につく。



「すずらん、やっぱりけーとくんって強いの?」

「……」

「すずらん?」


イヤホンしてる?…してない。なんて思ってるとちらりと視線を向けられる。


「ずっと好きな人がいるって聞いてたけど、さややだったんだ」

「へ、」

「…うらやましいから、仲良くするのやめた」

「ええっ」


真篠くんの今朝の言葉は嫉妬なんかではなく、牡丹くんの時みたいな意味合いだったようだ。


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