悪いコの味方!


みゆたんに言われたことが頭の中でぐるぐるしている。

わたしがみゆたんの立場だったら…なんて想像力を駆り立てさせても、深く同じ気持ちになることができない。


ひどいことをした。


だったらどうしたらよかったの。なにが正解で、なにが間違っていたんだろう。


きっとわたし、本当に悪いやつだ。みんなもっとうまく自分の行動を決められるのかもしれない。考えが足りていないんだ。このままじゃいけないんだ。



「あまり無理に考えこまない方がいいよ」


すずらんは優しくそう言ってくれるけど、それに甘えたら今までと同じ。

大切なひとを真篠くんだけにできたら楽なのかな。

そんなこと彼は望んでないのに、自分の逃げ道ばかり探してる。


その夜ゆるるから電話がきた。めずらしい。


「どうしたの?」

「彩夜架、さやから連絡来てる?」


少し元気のない声。ゆるるも体調崩しちゃったのかな。


「朝体調悪くて休むってきたっきりだよ」


お互い一日にそんなにたくさんメッセージのやり取りをするタイプじゃない。体調は心配ではあるけど、返事がないから寝てるのかなって思ってた。


「施設からいなくなったの」

「……へ、」

「今朝施設にさやのお母さんが会いに来たんだって」

「お母さんが…?」

「顔は合わせてないみたいだけど、さっき部屋見たらいなくなってて」


死のうとしたこともあったと、以前ゆるるが話してた。そんな度胸持ってないけどねって言ってたけど、死ぬのって度胸が必要なのかな。

そんなこと考えたことない。だけどきっと、いろんな感情に背中を押されてしまうんだと思う。それを度胸、なんて言う?


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