悪いコの味方!
最近、何もないわたしが、目立つ。
「自信がない。…真篠くん、わたしのどこがいいんだろう」
気付いたら彼に寄りかかりそうになっている。
昨日、抱きしめていたのは誰。抱きしめるふりして、抱きしめられていた気がする。
「もしかしてましのんがいるからあたしがこうして彩夜架ちゃんと仲良くしてると思ってる?」
す、鋭い。思わず何も言えなくなるけど、これ、態度で肯定しちゃってる。
ちふちゃんは見たこともないくらい怒った顔をして肩を揺さぶってきた。
「信じらんない!あたしが貴重な放課後棒に振ってこんなやっすいカフェのココア飲みながらあんたのしみったれた気持ち聞いて……それがましのんのおかげって思ってるなんてスッゴイ腹立つんですけど!」
カフェの机から身を乗り出して言ってくる。ここのココアおいしいしリーズナブルなのうれしいけどなあ。それにしても、怒っていてもびっくりするほど美人。
「だって…」
ちふちゃんが真篠くんと付き合っていなかったらこんなに話す機会はなかった。
ゆるると真篠くんが幼なじみじゃなかったら、というのも同じ。
「あたしはむしろましのんに感謝してるの」
「感謝?」
「そう。ましのんのおかげで、彩夜架ちゃんと話す機会が増えて。今じゃずっと仲良くしていけたらって思ってる」
わたしだってそうだよ。
「こんなふうに他人に対して思ったことないよ。これは、相手が彩夜架ちゃんだからだよ。わかる?彩夜架ちゃんの性格や気持ちや言葉が、あたしをこんなふうに思わせてるの。そこにましのんは関係ない」
はっきりと言われた、わたしがぐるぐる悩んでいたことがクリアになっていく言葉。
思わず泣けてきた。