悪いコの味方!
「だけど印象は最悪だったし、どういう気持ちを抱えてたって真篠くんがしてるのは恋なんかじゃないってたくさん否定した。彼が過ごしてきた時間全部否定した。みんな、彼に騙されてるって思ってたし…」
騙されてもいいって思ってる女の子たちが信じられなかった。
わたしは、騙されたくない。彼に騙してほしくない。
好かれなくていいなんて思えなかった。ひとり占めしてみたくなった。
「でもけっきょくわたしも他の子と同じで、まんまと真篠清香に骨抜きなんだよね」
恥ずかしいなあ。手の平で転がされてる気分。そんなに器用なコでも悪いコでもないってわかってるんだけどさ。
「……同じじゃないですよ」
「え…」
「だから木暮先輩は、真篠先輩を選べたんです」
他の人には悪いし、おこがましいけど、誰よりも真篠くんのこと、大好きだし、心から想ってる。自信があるよ。
それは、きっとわたしだけが彼にあげられる気持ち。
「嫌がらせして、ごめんなさい」
「…おあいこだよ」
真篠くんの周りの人たちは、彼のことをあきらめているようで本当は真っ直ぐ見つめてくれていた。
仕方ないなって思ってくれる。きみの優しさに気づいていて、返してくれる。なんだかんだで、味方でいてくれる。
わたしだけじゃ、なかったね。
うらやましいくらい、ぬくもりで満ちている。