悪いコの味方!
「映えってこわい…」
「はい、お茶」
用意周到。準備万端。ブルゾンのポケットから280ミリリットルのペットボトルを出してきた。
「わー!ありがとう!」
奮発してにぎったシャケといくらの親子おにぎりは味が濃いからこれは必須だった。
キャップを開けてごくりと飲み込む。お茶っておいしい。感動しちゃった。
「真篠くんが好きって言ってたおかかもあるよ」
ラップにピンクの星のシールが貼ってあるのがおかか味。
「ふうん。なんだかんだ慣れてきてるのかもね」
「へ?」
上半身を起こして顔を覗き込んでくるいたずらっコみたいな瞳。
「間接キスできたよ」
からかうように笑ってる。
「…ぬあっ」
「ぬあ?」
本当だ。すんなりとしていた。考えてなかったというか早くお茶を飲みたかったというか。
「なるほど。こうしてオトナの階段をのぼっていくんだ」
「小学生でもこれくらいできると思うけど」
「え!イマドキの小学生ってすごい!」
「…まあいいや。いただきます」
オトナキラリシーンもそのうち経験するかもしれない。
わたしが?妄想はできるけど想像はやっぱりできない。現実的じゃない、夢みたいなこと。
相手は真篠くんがいいなあ。
「おかかがおいしい」
「おかかから作った!」
思った通りの味にならなくて家に山になった失敗作がタッパーに入ってる。
「すげー、おかかって作れるんだ。家庭的なとこいいよね」
そう言われるともっと勉強しようって気持ちになっちゃう。簡単で単純な思考回路は、きみのせいだよ。
「家庭的といえば…あの女、昨日どろっどろな肉じゃが作ってきて最悪だった」