悪いコの味方!
「なに…」
「それ他にも男いんの?」
「ああ、たぶんマキマキの好きな人の友達が来る予定だよ」
こんな前からクリスマスの計画をして、それに乗ってくれるマキマキの好きな人。ノリ良し、好感度抜群。
「おれがいない間に他のやつ見んなよ」
「いや、それは真篠くんに言いたい───っわ」
肩を押されたかと思えば、世界がぐるんと反転した。
花とごはんのにおい。そんな平和な時間を彩るような空気を、彼は平気で乱してくるんだ。
青空、よりも、真篠くんのきれいな顔。
おそろいのピアスが揺れる。
「おれ、好きなものは最後までとっておくタイプなんだよ」
「…知ってるけど…それよりこの体勢恥ずかしいよ…っ」
誰かに見られたらどうしよう。言い訳できないくらい近いよ。それなのにもっと近づこうとしてくるから、うらやましいくらいシュッとしている顎を押し返す。
「ひゃあっ」
なのになんで!その手を噛んでくるの!思わず離しちゃった。
そうしたらもうだめ。何か言う前にくちびるは彼のそれに塞がれる。
こんな場所で。…でもこの場所なら良いかも。…ってそうじゃない。
逃げようとしたら顎を固定された。
わたしはもっとのんびり和やか~なランチタイムを過ごそうと思ってレジャーシートを敷いてただけなのに彼は好機を狙っていたみたいに何回も角度を変えてキスしてくる。
なんだか責められてる気分。おれがおとなしくするわけないだろ…って。
「彩夜架に人生まるごとかけておなかいっぱいにしてもらうから、他のやつに揺れたりしない」
わたしは食べ物じゃない…!
「飽きるかも…っ」
「3ヶ月に一度変わる髪色と1ヶ月に一度変わるネイル。毎日メイクのテイストは違うし…なによりその反応。飽きる気がしねーよ」
それは、彼のなかでわたしは一生がんばらなくちゃいけないということ。