悪いコの味方!


手を取る。細い。背はわたしより少し高い。美人で、ちふちゃんは芸能人みたいだね。



「仕方ないよ。ちふちゃんの友達はちふちゃんのことが好きで、大事だから、お節介したくなるんだよ。止めに行こう!」



ペンギンコーナーに着くと、心配した通り、真篠くんが場をこじらせていた。



「ましのんがそうやって三芳を特別扱いするから、ちふが可哀そうじゃない!」


「ただの幼なじみが同じ高校入ってんじゃないわよっ」



これはまた変な言いがかりを…。


それにしても、ちふちゃんって可哀そうなのかな。



「ちふちゃんって可哀そうなの?わたしもちふちゃんをかばったほうがいい?」



思い切って聞いてみると、ふてくされた様子で「べつに可哀そうじゃないし」と言う。可哀そうじゃないらしいから、こんな公共の場で喧嘩を始めてるあの輪に飛び込もうと思う。



「ちょっとちょっと探したよゆるるー」


「…ゆるる?」



とりあえず仲良しアピールをするために、本当はそう呼びたいと思っていたものを使って呼びかける。


突き飛ばされたのか、床に倒れてる。か弱い。それをかばうように前にいる真篠くんを押しのけて手を差し伸べた。ふつうこれが先でしょ。


カツサンドで気を遣えるのにこういう修羅場に入ってくのはへたくそらしい。



「ペンギン見に行くなら誘ってよー。あ、みんなも。ちふちゃんも呼んだからとりあえず写真撮ろっかー」


「は?ちょっと、彩夜架ちゃんだっけ。関係ない子は入ってこないでくれない?」



気が強いなあ。でもあなた、一度真篠くんと保健室に一緒にいたよね。ちふちゃんのことを思ってるふりして、本当は自分が妬いてるだけなんだろう。

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