悪いコの味方!
もしかすると、長く付き合ってるちふちゃんにもやきもちを妬いてたかもしれない。矛先は一点のほうがラクだから、三芳さんに向かっちゃっただけで。
「…ごめん坂下さん。でもゆるは幼なじみで、みんなとは違うんだ。わかってもらえないならもう関係は続けられないよ」
彼の一番はどうやら三芳さんらしい。
ただの幼なじみではないな。ただの幼なじみの、恋愛関係がないふたりが、こんなにも疎まれるはずがない。これは恋愛ではないみたいだけど、観察継続の価値はありそう。
「…わかった。三芳、ごめんね」
「べつに。…慣れてるし」
また言った。慣れてるしって。それにしては立たせるために繋いだ手は震えていたね。強がりさん。
でも彼の特別になるにはこれくらい強くないとダメみたい。
「みんな行こう。あたしのためにごめんね」
ちふちゃんも強い。本当は自分のためじゃないってわかってて、美亜子ちゃんたちを悪者にしないように言ってあげてる。
けっきょくその場は丸く収まって、ちふちゃんたちは行ってしまった。たしかにもう集合時間だね。
「三芳さんと真篠くん、わたしたちも行こっか」
ペンギンは見たかったけど仕方ないね。さすがに帰りのバスに乗り遅れたくはない。
「おまえって…すげーな。ふつう巻き込まれるだろ」
「そうかな。それより真篠くんはもう少し女の子遊びの仕方を考えたほうがいいと思うよ。慣れさせちゃだめでしょ。三芳さんにもそうだけど、自分を好きでいてくれる女の子たちにも」
そこまで言ってはっとした。何も知らないくせにおせっかいだ。