悪いコの味方!


それにしても未知なる恋。不思議だよ。みんな付き合う前は真篠くんが遊び人でもカノジョが何人いてもなんでもいいって言うのに。


独占欲って自分の意に反して自然と出てきちゃうものなんだね。



友達がこんなふうに傷つくことになってしまうなら言っておけばよかったかな。



彼のちゃらんぽらんは治らないと思うよって。



真篠くんは保健室の常連で、わたしは保健委員をしている。


常連と言ってもケガではない。まあ一種のビョウキではあるのかもしれないけど。


朝、お昼、放課後…先生や委員会のメンバーの目を盗んで、彼は女の子のランデブーに保健室のベッドを使用することがしばしある。



それをたまたま発見して、つい好奇心でじいっと観察していたらお邪魔だったみたいで途中で終わってしまい、こっぴどく叱られた。


ハグやキスはできるけど、人と身体を重ねるあの行為は人前ではできないヒミツのコトらしい。


何度か遭遇してるし、毎回違う子だし、あれはもうどうしようもないよ。



そんな真篠くんを今日は保健室ではなく別の場所で見かけてしまった。



購買へランチを買って教室に戻る手前。不穏な雰囲気が漂っているから苦手な化学室の前をそそくさと通り過ぎようとしたら物音が聞こえた。


お昼タイムで誰もいないはずなのにどうして…と恐怖心を抱えながら近づいて前のドアのすき間から中をのぞくと、広い教壇の上で制服の男女が絡み合っていたのです。



──── 絶対、真篠くんだ。



ごくり、と息を飲み込む。よく顔は見えないけど、しなやかに伸びる脚の上に跨るシルエットでピンときた。


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