悪いコの味方!
脳内は今日のリップよりもピンク色。心臓はばくばくと高鳴る。ひゃーすごい、相変わらずすっごい。
深いキスを済ませたふたりは見つめ合って、今度は女の子からくちづける。
横顔が見えた。やっぱり真篠くんだ。そしてお相手はなんと昨年ミスコン優勝者の上級生。
付き合ってるうわさは聞いたことがないけど、新しいカノジョかな。
目の前で繰り広げられるついばむようなキス。小鳥がエサを食べてるみたい。そう喩えると滑稽にも思えるのに、彼らがまとう空気は妖艶で、甘美で、見ているだけでくらくらしてくる。
保健室などなどの今まで見たときのもすごかったけど、今日のこれはまた、どえろい。
上級生の証であるネイビーのリボンが外れて床に落ちる。彼の長い指がワイシャツの3番目のボタンからゆっくり、じっくり、視線だけで味わうように外していく。
美人さんにしては幼く、そのギャップに萌えすら感じる淡い水色の下着が見えたところで、わたしのスカートのポケットが震えた。
「ひゃっ…」
びっくりして声が漏れる。すぐに手で口をふさいだ。
ちらりと中を見ると長い指が下着の肩紐をなぞっているのが見えて、バレてないことに安堵する。
友達のマキマキから「まだー?」という着信。仕方ない。本当は全部見ていたいけど小さく「今行くっ」と返す。購入組みはお弁当組みを待たせているので頭が上がらないのです。
「今行く、じゃねーよ」
だけどみんなごめん、まだ行けそうにない。
見上げるとカギカッコを逆さにして4つ向かい合わせたイカリマークをおでこに付けた真篠くんの姿。
今日も見ていたことがバレちゃったらしい。