悪いコの味方!
グループメッセージに「用事を思い出したから先に食べてて!」と送っておいた。本来、待たせておきながらこんなふうになることは嫌に決まってる。
だけどみんな本当にごめん……仕方ないのです。
「おまえはその如何わしいシュミをどうにかできねーのかよ」
目の前の男の子は怒っています。ものすごく。そりゃそうだ。これから甘い甘いヒミツのオタノシミタイムだったんだから。
謝る。謝るけど、その前に。
「う……真篠くん、はだけてるよ…っ」
日焼け知らずのきれいな肌がワイシャツからのぞく。そんな姿でわたしの前に現れないでほしい。さっきから刺激的すぎて頭がヘンになりそうだよ。
なるべく見ないように目をそらして、手は彼のワイシャツのボタンを留めていく。器用なほうでよかった。見ないでも付けられる。
だってあのままじゃ真っ直ぐ見られない。でも目を見ないとまた怒りそうだし。
「おい、待…っ……苦しいっつの!」
「たっ」
おかげさまでチョップをおでこで受け止めた。痛い。容赦ないよ。どうしてこの人がモテるんだろう?
15センチ先を見上げると第1ボタンまで締められて苦しんでるイケメン真篠くんがいた。はっとして、謝って、いっこだけ外してあげる。
「なんなんだよおまえはいつも……おれのことが好きなの?」
いや、オトナキラリシーンを陰ながら見つめたりはだけたボタンをてっぺんまで締めただけなのにどういう思考回路をしてたらその問いかけにたどり着くの。解せない。
思わず息を吐く。さっきまで頭の中はピンク色してたし浮かれたしどきどきしてたのになあ。