悪いコの味方!


「……べつにふつうだろ」


「まあ、ふつうだけど、褒めたんだよ。それよりどう?おいしい?」



素直に受けとってほしいんだけど、彼にはむずかしいことみたい。

だけど、うん、って花が咲いたみたいに笑うから、もうなんでもいいやって気分になるよ。


真篠くんはローストビーフ丼を3分の2食べたくらいにてっぺんにのっていた黄身を崩してまた幸せそうな顔で堪能していた。

わたしなら最初に崩しちゃう。だってたまごと絡めたほうがおいしいって知っているから。


わたしがウニのパスタを完食したころ彼のもとにはショートケーキがやってきた。甘そうなクリームラテも付けている。…女の子みたい。


いただきますをつぶやいてフォークを進める。甘党なんだなあ。そういえば菓子パンばっかり食べてるけどよく太らないなって思ったことがあった。

てっぺんのいちごを避けている。



「真篠くん真篠くん」

「なに」

「いちご食べないならちょうだい」

「は?ばかなの?最後にとっておいてるだけだろ」

「ええっ」


衝撃的。


「わたし最初に食べる…え、ゆると牡丹くんは?」

「うーん。途中かな?」

「俺も」


途中なんて人もいるんだ。おまえらありえないな、と真篠くんがつぶやく。いやきみもありえないよ。いちごやたまごの食べ方も違うんだね。

いいなあ。いちご食べたいなあ。

最後にとっておかれると困るね。


きみは、なんだか時々、なぜか困るね。


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