悪いコの味方!
「愕いたの。人気者な彩夜架もそんなこと思うんだね」
「え、人気者じゃないよ。人気者って真篠くんみたいな人のことじゃない?あと女の子の憧れなちふちゃん」
「だけど彩夜架のこときらいって人いないと思う。それが一番人気な証でしょう」
うーん。きらわれたことは、確かにないかもしれない。思い当たらない。けど、それは周りがみんな優しいからだと思う。
「そんな彩夜架でもふてくされたりするんだね。なんだか安心しちゃった」
「そう?でも本当、いじけてるだけかも。みんなのことぜんぜん理解できない。みんなにわたしの気持ちが伝わってるかも不安だよ」
わたしの気持ちっていうのも、よくわからないんだけど。
みゆたん、あの合コン撮影の男の子じゃだめだったのかな。真篠くんのどこがよかったんだろう。…温もり…なんて、わたしは知らない。
「やっぱり恋をしたことがないからかな。恋したらわかるのかな。友達や家族より大切になる恋の相手って…そんなの、したいとも思えないけど」
人一倍恋に憧れてると思ってるんだけどなあ。
真篠くんのせいで、憧れや理想はどんどん崩れていく気がするよ。
憂鬱。
きっとわたしがいない場所で、みゆたんの惚気話をマキマキは聞いて傷ついてる。だけどそれは、自分の恋をひみつにしているから。ひみつにしなくちゃならない恋をしてるから。
誰かそういう、何より優先したくなる気持ち、教えてくれないかなあ。
そう思っていたら携帯が鳴った。みゆたんたちかな。そう思って開くと牡丹くんの名前が表示されている。