悪いコの味方!


「さや、プロモデルにならないか誘われてるんだよ。ならないみたいだけどね」


「そうなの?かっこいいもんね」



すごいや。人を惹きつけるちからがあるんだ。人気者だ。断るなんてもったいないなあ。と簡単に思う。だって誰にでもできることじゃない。



「それもあるけど、たとえば今もちふちゃんが撮影しやすいようにさやは動いてて、引いたり前に出たり角度気を付けたり、そういう動きを指示されなくてもできる人ってあまりいないんだって聞いたことある」



周りを傷つけてしまう真篠くんには、一番不得意そうなこと。


そっか。できるんだ。きっと本当は。


彼だって傷つけたくてそうしてるわけじゃない。

本当に悪いコなわけじゃない。



「そうやって人を褒められる牡丹くんもすごいね。真篠くんもゆるるも、良い友達がいるなあ」



真篠くんもゆるるもマイペースだし…は!



「は!」


「え、なに」


「ゆるる、この前好きな人がいるって言ってた…!」



自分のことでいっぱいいっぱいでスルーしてしまっていた!ゆるる、好きな人がいるって言ってた。言ってた。何かできることはないかな。



「あー……ね。ゆる、いるらしいよね」


「相手は知らない?」


「…うん。ゆるって秘密主義だからね」



そうなのか。わたしはまだ友達になったばかりだけど、もう長い付き合いの牡丹くんも知らないんだ。


じゃあゆるるが教えてくれるまでおとなしくしていよう。



「…やっぱり真篠くんかなあ…」



幼なじみの王道ラブストーリー。甘々で溺愛で他の人に嫉妬してでも相手を尊重して…なんて、あの彼ができると思えない。

< 96 / 351 >

この作品をシェア

pagetop