悪いコの味方!
「あのふたりはないんじゃないかな。姉と弟みたいに育ってきてるし」
それはわかっていないよ牡丹くん。禁断のラブかもしれないのに!禁断ではないけど。
「ゆるは彩夜架のこと好きみたいだし、甘えたくなったら頼ってくれると思うよ」
「そうかな?じゃあ、そうなった時にちゃんと話を聞いて言葉をかけられるようにわたしも早く恋をしなくちゃ…!」
ぐっとこぶしを握る。できる気配はないけど、自分が経験しないと何も言えないと思うから。
ゆるるも、他のみんなも、困ったことがあってわたしを頼ってくれた時、何も言えないのは嫌。違う考えを否定するのも嫌。想像でしか話せないなんて嫌。
にぎったこぶしが、あたたかな手のひらに包まれた。
牡丹くんを見上げるとそっと笑いかけられる。
「無理に力んでするものでもないよ。彩夜架なら良い人が見つかりそう。その良い人に、なりたいな」
心臓が、どどどどどどっと、怒涛の動きを繰り広げてる。
「えっと、あ、あの、ありがとうっ」
「ん。いーえ」
にっこり。近い。顔が熱い。
慣れてないからこういうことになる。
離れた手が、いつの間にか力むのをやめていた。ゆるるとはまた違う癒し…だけどちょっと心臓に悪い。
「そろそろ行かなきゃだよね。送るよ」
「あ、うん。ありがとう」
牡丹くんが駅へ踵を返した。
わたしも、とついていく前、少し離れた場所で撮影していた真篠くんと目が合ったような気がして、なんとなくすぐにそらした。
なに、この気まずさ。
悪いコって思っちゃったからかな。