悪いコの味方!
「真篠くん、ホラー見れるの?それより恋愛もの見て勉強したほうがいいんじゃない?」
「は?ホラーくらい見れるし、恋愛映画で何勉強するんだよ」
ホラー見れるのか。本当かなあ。
去年の学園祭でうちのクラスでやっていたお化け屋敷でしりもちついてこわがってたような気がするんだけど…突っ込んだらもっと機嫌が悪くなりそうだからやめよう。
「女の子の優しい正しい扱い方の勉強」
「おまえがすれば?男の見つけ方」
れ、恋愛ストーリーでそんなの勉強できるか!あんなの創られた運命にすぎないんだから!
「わたしはいらないし!」
「おれもいらねー!」
「いるでしょ!」
「おまえもなっ」
くだらない言い合い。真篠くんといるとどうしてこうなっちゃうんだろう。
本当は、わざわざ文句を言いに来たのだとしても、家の方向じゃないはずのバイト先まで来てくれるなんてうれしいのに。撮影かっこよかったよって言いたいのに。
「一緒に勉強していけば?」
後ろから声をかけられる。
「店長!」
「レンタル料払ってくれるなら店のテレビ貸すよー。木暮さんいつもよく働いてるし、きみら仲良さそうだから一緒に見て行けば?」
店長。おじさんだけど良い人。
「わあ!真篠くん、一緒に見ようよ!」
「え…」
「お願いお願い。ちょうど良かった。映画館で見れなかった作品が新作で入ってるの。一緒に見よう?」
今人気の俳優さんとわたしが好きなすごーく美人な女優さんが出てる学園映画。
「仕方ないな…」
やれやれ、といった雰囲気の真篠くん。
断らない。それがうれしい。
こういう優しさはあるんだよねえ。