世界が終わるとき、きみを見つける

よろしい。という顔をして、実里先輩がうなずく。

「じゃあ、吹。日音先輩にお願いしてこよう。そしたら、先輩の演奏の録音送ってあげる」

いってこい!というように肩をたたかれ、くるっと日音先輩先輩のほうを向く。

ちょっとどころじゃなく恥ずかしい。

僕より背の小さい日音先輩。小動物みたいな先輩。いまだにコンクール一位とは思えないけど。

先輩のソロ、隣で聞きたい。

「僕、日音先輩のソロ、聞きたいです......!」

一瞬、日音先輩の動きが止まる。

「もう、わかったよ!ソロ吹く、吹きます!」

ふふっと、実里先輩と顔を見合わせて笑う。

僕、実里先輩に似てきたかもしれない。
< 27 / 47 >

この作品をシェア

pagetop