世界が終わるとき、きみを見つける
「わ、私のソロはやらなくていいの!」
「ええー?でも私ソロ聞きたいです、先輩の。」
実里がいじ悪そうに笑って吹くんを見る。
吹君巻き込むのはひどいと思う。
私が吹君のお願いを断れないの知ってるのに。
「日音先輩のソロ、僕も聞きたいです!」
「吹君まで!ねぇ、二人とも!私、一応先輩なんだけど!」
実里から山吹色の霧が見える、少しだけ、吹くんからも。
「先輩はいい意味で先輩らしくないですよね。」
実里の言葉に吹君が激しく首を縦に振る。
そしてなぜか私のソロから始まるパートの曲練。
んもー!なんて言いながら、本当はソロを吹くのを楽しんでる私もいる。
私のことを思いっきりいじってくる二人からはからかいの山吹色。
でも、実里も吹君もこうして吹奏楽部に、フルートパートになじんでくれたことが何よりうれしい。
こうやってずっと馬鹿みたいに笑っていたいんだ。