天城兄弟、お見通し。





「ね。うるちゃんさ、学校で僕らと他人のふりしようとするのなんで?」

「ご、ごはん……」

「あれけっこう悲しいんだけどなぁ、僕」



イタイところをつかれて言葉に詰まった。


悲しいとか、そんなこと絶対思っていなさそうだけど……他人のふりをしようとしていることは事実。



ナナくんは、質問の答えを出すまで離してはくれない。「そんな難しいこと聞いてないし答えられるよね?」と笑みを浮かべるナナくんに冷や汗が流れた。




学校で他人のふりをしていたい理由、なんて。


ナナくんと蓮斗と住み始めたのは夏休みのことだったから、当然学校はなく、一緒にいるところを見られる心配はほとんどしていなかった。



新学期がはじまって早二日。

ナナくんも蓮斗も、自分たちがどれだけ有名かわかってないの? って突っ込みたくなるくらい一緒に住んでいることを隠す気なんてさらさらなさそうで。


入学して早々に有名人になっちゃったふたりと一緒の家に帰っていて、ましてや不可抗力とは言えナナくんに後ろから抱きしめられているなんて────わたしには荷が重すぎる。


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