天城兄弟、お見通し。
「れん、ジャージ忘れたから貸して」
「お前のヘンな香水移るのヤダから無理」
「この間僕のプリン勝手に食べたよね? 僕あれまだ許してないんだけど」
「……うぜー」
「はいありがと。持つべきものは言うこと聞く弟」
「たかが数分早く産まれただけで兄貴ぶんのやめろっつってんだろ気持ち悪いな」
透き通るブラウンのマッシュヘアーに柔らかい雰囲気が特徴的な、人懐っこくてみんなに優しい兄──天城 七斗と、
さらさらの黒髪が良く似合う、クールでミステリアスな雰囲気を纏う弟──天城 蓮斗。
整った顔立ちはふたりに共通していて、背丈や声もほぼ一致。
一卵性の双子である天城兄弟は、髪色や髪形がそろっていたら、彼等を知らない人には到底見分けはつかないと思う。
「喧嘩してるけど、内容結構かわいいよね」
「わかる。なんだかんだ登下校も一緒にしてるし、仲いいのか悪いのかわかんない」
「本人に『仲良いじゃん』っていうと怒るらしいよ」
「え、でもどっちかのこと悪く言うと怒るんだって」
「仲良いじゃんか」
「ツンデレだよねぇ」