天城兄弟、お見通し。
「うるは」
「うん?」
「ちゃんと見てるから。だからあんま怖がんなよ」
蓮斗にさりげなく耳打ちされたその言葉。
ぽん、と頭を撫でられて、不覚にもきゅんとしてしまった。
『ちゃんと見てるから。だからあんま怖がんなよ』
蓮斗が言うそれは、多分、わたしが抱えている不安に対しての言葉なのだと思う。
ナナくんとの会話を聞かれていたのだろうか。
厄介ごとを避けたい。だから家の外では関わりたくない。
そう思っているのは───…多分、わたしだけで。
「俺も、うるはと喋んないとか無理だし」
「え、ええ……」
「つーか、この家に来た時点でもう俺ら他人じゃねーだろ。そうしろって言うほう無理だって」
「それはそうだけど……」
蓮斗の言う通り。一緒に住むことを了承したのはわたしだもん。
「まあ、どうしても隠したいならドーゾ?」
「……は、」
「逃げ切れるといいな」
蓮斗の手が伸びてきて、制服のリボンがしゅるりと解かれた。
クッと口角をあげていたずらに笑うその顔は、ナナくんにそっくりで。
「っ、ヘンタイ双子!!!!!!!!!!」
「声でか」
「えー、れん抜け駆け? せこーい」
「してねーわ、ちょっとしか」
やっぱりこの双子とひとつ屋根の下は、前途多難です!