天城兄弟、お見通し。



「うるは」

「うん?」

「ちゃんと見てるから。だからあんま怖がんなよ」



蓮斗にさりげなく耳打ちされたその言葉。

ぽん、と頭を撫でられて、不覚にもきゅんとしてしまった。



『ちゃんと見てるから。だからあんま怖がんなよ』



蓮斗が言うそれは、多分、わたしが抱えている不安に対しての言葉なのだと思う。


ナナくんとの会話を聞かれていたのだろうか。

厄介ごとを避けたい。だから家の外では関わりたくない。


そう思っているのは───…多分、わたしだけで。



「俺も、うるはと喋んないとか無理だし」

「え、ええ……」

「つーか、この家に来た時点でもう俺ら他人じゃねーだろ。そうしろって言うほう無理だって」

「それはそうだけど……」





蓮斗の言う通り。一緒に住むことを了承したのはわたしだもん。



「まあ、どうしても隠したいならドーゾ?」

「……は、」

「逃げ切れるといいな」



蓮斗の手が伸びてきて、制服のリボンがしゅるりと解かれた。


クッと口角をあげていたずらに笑うその顔は、ナナくんにそっくりで。





「っ、ヘンタイ双子!!!!!!!!!!」



「声でか」

「えー、れん抜け駆け? せこーい」

「してねーわ、ちょっとしか」






やっぱりこの双子とひとつ屋根の下は、前途多難です!
< 23 / 30 >

この作品をシェア

pagetop