天城兄弟、お見通し。
「な、何言ってんの。ならないよ」
真意のわからない眼差しで見つめられて、パッと目を逸らす。
危ない危ない。
また、ナナくんの悪い冗談に泳がされるところだった。
本格的に知り合ってまだ数か月だから、ナナくんのことをすごく詳しく知っているわけではない。
……だけど、学校でも女の子に対して平等にやさしいから、わたしだけがトクベツなわけじゃないということだけはなんとなくわかっていた。
弄ばれてるだけなんだ。
ナナくんは多分、わたしみたいに経験値のない女の子をからかうのが好きなんだと思う。
「ナナくん、だめだよ」
「うん?」
「ナナくんと付き合いたいって思う子なんてたくさんいるんだから。思わせぶりばっかり、良くないと思う」
簡単に抱き着いてきたり、勘違いしちゃうような言葉ばっかり言うのはダメ。
女の子って繊細なんだからね。
わたしはナナくんに恋をしているわけじゃないからまだ良いとしても──…
「うるちゃんも?」
「え…、っ」
「うるちゃんも、僕に期待してくれてんの?」