天城兄弟、お見通し。
「あ。蓮斗くん戻って来た。結局ジャージ貸してあげてるし」
「かわいい。養いたい」
「わかる」
弟の天城 蓮斗とは同じクラス。
席に着いた彼に熱い視線を送りながら盛り上がるふたりの隣で、ほっと安堵のため息を吐く。
やっぱり、外では迂闊に会うべきじゃないなぁ。
バレた時にひどい目にあうのは……多分、わたしだもんね。
気をつけよう……と心に決めたところで、ポケットに入れていたスマホが振動した。
連続で何件か来たみたいだ。
だれだろ? と思いながらスマホを開いて、思わず声を上げそうになった。
《絶対先帰んなよ》
《ナナは連れてこなくていいから》
《今日、れんには内緒でふたりでかえろ》
《スタンプ(満面の笑み)》
個人トークなのに、メッセージを送るタイミングまで一緒。
……ホント、どこまでも仲良くて、不仲だ。
「もぉ~……、」
有名でモテモテな天城兄弟のふたりと、平凡女子高生のわたし。
そんな双子に何故か気に入られちゃっていて、────おまけに、実は一緒に住んでいる、なんて。
こんなの、簡単に誰かに言えるはずがない。