天城兄弟、お見通し。
*
「じゃあ、ばいばい麗羽」
「また明日ねっ」
「うん。ばいばいふたりとも」
放課後。
電車通学のあずちゃんとこっぴとは帰る方向が真逆なので、校門で別れるのがお決まり。
ふたりと別れて、わたしも帰路につく。
あのふたりに捕まる前に早く帰らないと。
二日連続で一緒にいるところを見られたら、次の言い訳に困っちゃうし───…
「うーるーちゃん」
「おい、うるは」
──やばい、もう手遅れ、かも。
後ろから呼ばれた声に、サーっと血の気が引いていく。
やっぱり、メッセージを既読無視したのはよくなかったかな。
……でもでも、だって。
両方から「ふたりで帰ろう」って誘われたって、わたしの身体はひとつしかないわけで。
どちらか一方を選んで、また目の前で喧嘩されても困るし……!
恐る恐る振り向くと、そこには同じ顔をしたふたりの男が立っていた。