天城兄弟、お見通し。






「じゃあ、ばいばい麗羽」

「また明日ねっ」

「うん。ばいばいふたりとも」




放課後。

電車通学のあずちゃんとこっぴとは帰る方向が真逆なので、校門で別れるのがお決まり。



ふたりと別れて、わたしも帰路につく。



あのふたりに捕まる前に早く帰らないと。

二日連続で一緒にいるところを見られたら、次の言い訳に困っちゃうし───…




「うーるーちゃん」

「おい、うるは」





──やばい、もう手遅れ、かも。


後ろから呼ばれた声に、サーっと血の気が引いていく。



やっぱり、メッセージを既読無視したのはよくなかったかな。


……でもでも、だって。


両方から「ふたりで帰ろう」って誘われたって、わたしの身体はひとつしかないわけで。

どちらか一方を選んで、また目の前で喧嘩されても困るし……!




恐る恐る振り向くと、そこには同じ顔をしたふたりの男が立っていた。


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