編集後記
鈴木孔は目頭を指で押さえた。

小さい字をずっと読んでいる時、いつも行う行為である。

フリーのライターである彼は、あらゆる本を読んで書評を書く読者ライターをしていた。
今日も40を超える本達と格闘していた。
ためになるものから、読むに値しないものまで何でも読む。
その為、読む速度が尋常じゃなかった。
速読をマスターした訳でもなく、独学で速く読む術を会得していた。

今日読んだ中に、特に気にとめるモノは無かった。いつもの事だ。
ありふれた言葉の羅列は、時間を浪費したと思わざるを得ない。
これらを、売れるように宣伝文句でコーティングする。これが厄介だった。
今では慣れたもので、取り繕った言葉を並べたてる術を得た。ただ、前に使った形容詞や40冊分似通った雰囲気にならない様に、細心の注意を払っていた。

そうした中に、気になる文面を見つけたのだった。
それも巻末、編集後記の中に。










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