編集後記
都築舞衣は、話を続けた。
「仕事はともかく、無断欠勤はおかしい。何かあったのかと思ってしまう。書き置きの内容なんだけど、何かあったら君に連絡してほしいと書いてある。深読みかもしれないけど、これはある種のダイイングメッセージなのでは?と。私は考えたの。斎藤君も書評書いてたんでしょ。そこで意見を聞かせてほしいんだ。この本を読んで」
そう言うと舞衣は、鞄から一冊の本を取り出してテーブルへ置いた。
カバーがしてあり、タイトルや作者名はわからない。
「これは鈴木孔が最後に手掛けていた本なの。私も読んでみたけど、何もわからなかった。書評家のあなたが読んだら、何か解るのかなぁって。多分、同じサークルで培った感性は似通っていた。これが私の持論なの。是非読んだ感想を聞かせてほしいの」



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