エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~

パーティー

 パーティー会場となるホテルのエントランスホールはラグジュアリーな空気が漂っている。
 千春は少し緊張して辺りを見回した。
 ホテルマンがこちらにむかってにっこりと微笑むのも、ビジネスマンと思しき外国人の男性が足早に通りすぎるのも、病院以外の世界をほとんど知らなかった千春にとっては、なにもかもが新鮮で刺激的だった。
 お見合いの日も千春はホテルを訪れたが、あの日はそういったことを感じる余裕はまったくなかったのだ。

「今日は、無理するんじゃないぞ。部屋を取ってあるからいつでも休憩はできる。疲れたらすぐに言え」

 隣で清司郎が千春に向かって忠告をする。
 千春は無言で頷いた。

「まぁパーティーなんか気楽なもんだ。リラックスしてればいい……と、言いつつ俺も苦手なんだけどな」

 そう言って清司郎は肩を竦めた。
 頷きつつ、千春は隣の彼をチラリと見る。とても直視できなかった。
 細身ではあるもののいざとなれば千春を抱き上げることもできるがっしりとした身体つき。
 パーティー用のダークカラーのスーツを着て、いつもよりもキチンと髪を整えた清司郎は、病院中の女性たちの注目の的であるのも納得の男ぶりだ。
 こんなに素敵な人のパートナーが自分だなんて申し訳ない気持ちになるくらいだった。
 千春はエントランスホールのピカピカに磨き上げられた窓ガラスに映る自分の姿に目を留める。
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