エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~
「クズ! 死に損ない!」
昔から絢音はいつもなにか気に入らないことがあると千春に関係がないことでも、千春を罵ることで鬱憤を発散させていた。
それなのに今回は肝心の千春が家にいなかったから、それができなかったのだ。
今久しぶりに顔を見て、ここぞとばかりに怒りを爆発させている。
千春は反論せずにうつむいて、黙り込んだ。
こんな時はなにも言わずに彼女の気が済むのを待つ方がいいと経験上知っている。
「だいたいそんな貧相な身体で清司郎さんの妻の役割を果たせるとは思えないわ! 夫婦なんていって、本当は形だけなんじゃないの⁉︎」
でも彼女のその言葉に、頬がかっと熱くなった。
"夫婦といっても形だけ"
ドンピシャリの指摘だった。
そんなことはないと強がりを言うことも、実はそうなのだと白状することもできずに千春は目を閉じる。
彼女の言葉を肯定したと同じことだった。
絢音が弾かれたように笑い出した。
「なに、本当にそうなの⁉︎ やだ、おかしい!」
そしてそのまま、心底愉快そうに笑い続ける。
千春は身の置きどころがないような気持ちになった。
本当の妻でもないくせに妻のような顔して、パーティーにまで来てしまった自分が、恥ずかしくてたまらない。
ひとしきり笑ってから、絢音が意地の悪い目で千春を見た。
「ねえ、知ってる? 清司郎さんがなぜあんたと結婚したのか」
千春はゆっくりと顔を上げた。
「お父さまが言ってたわ。清司郎さんはすごく怒ってたって。手術は成功したのに、あんたが死んだらまるで清司郎さんが失敗したみたいに思われるでしょう? だからあんたを死なせないために結婚したのよ。ただそれだけ。入院の延長みたいなものだって」
なにも間違っていない絢音の言葉が、千春の胸にぐさぐさと突き刺さった。
昔から絢音はいつもなにか気に入らないことがあると千春に関係がないことでも、千春を罵ることで鬱憤を発散させていた。
それなのに今回は肝心の千春が家にいなかったから、それができなかったのだ。
今久しぶりに顔を見て、ここぞとばかりに怒りを爆発させている。
千春は反論せずにうつむいて、黙り込んだ。
こんな時はなにも言わずに彼女の気が済むのを待つ方がいいと経験上知っている。
「だいたいそんな貧相な身体で清司郎さんの妻の役割を果たせるとは思えないわ! 夫婦なんていって、本当は形だけなんじゃないの⁉︎」
でも彼女のその言葉に、頬がかっと熱くなった。
"夫婦といっても形だけ"
ドンピシャリの指摘だった。
そんなことはないと強がりを言うことも、実はそうなのだと白状することもできずに千春は目を閉じる。
彼女の言葉を肯定したと同じことだった。
絢音が弾かれたように笑い出した。
「なに、本当にそうなの⁉︎ やだ、おかしい!」
そしてそのまま、心底愉快そうに笑い続ける。
千春は身の置きどころがないような気持ちになった。
本当の妻でもないくせに妻のような顔して、パーティーにまで来てしまった自分が、恥ずかしくてたまらない。
ひとしきり笑ってから、絢音が意地の悪い目で千春を見た。
「ねえ、知ってる? 清司郎さんがなぜあんたと結婚したのか」
千春はゆっくりと顔を上げた。
「お父さまが言ってたわ。清司郎さんはすごく怒ってたって。手術は成功したのに、あんたが死んだらまるで清司郎さんが失敗したみたいに思われるでしょう? だからあんたを死なせないために結婚したのよ。ただそれだけ。入院の延長みたいなものだって」
なにも間違っていない絢音の言葉が、千春の胸にぐさぐさと突き刺さった。