エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~
「八神じゃないか」
声をかけられて足を止めた。振り返ると誰もいない廊下に、見覚えのある男が立っていた。
しばらく会っていなかったが、少し前に名前を聞いたばかりの人物、大林夏彦だった。
「大林……久しぶりだな」
答えながら、清司郎はなぜ彼がここにいるのだと考えをめぐらせる。そしてすぐに、彼の父親がこのパーティーに招かれていたのかと思いあたった。
彼の父親は、医療の分野に見識の深い政治家として知られていて、医学会や医療関係者が集まるパーティーなどには必ず顔を出している。
「大林先生と一緒か」
尋ねると、彼は頷いた。
「今は親父の私設秘書をしてるんだ。兄貴が政治に興味がなくてね。俺にお鉢が回ってきた」
いずれは父親の地盤を継いで立候補するつもりだと暗に言ってどこか得意そうにしてみせる。
清司郎は頷いた。
彼に対しては千春の件で思うところはあるが、態度には出さなかった。彼とは高校の同級生だが、特に親しかったわけではない。
「大林先生の跡を継ぐんだな。すごいじゃないか」
あたり障りのない言葉を口にすると、彼ははははと笑った。
「まだわからねーよ。……お前の方こそ大活躍だ。さっきは質問責めだったじゃないか」
「ああ、ありがたいよ」
清司郎は頷いた。
「八神病院はますます評判になるな」
「まぁ、それは……」
声をかけられて足を止めた。振り返ると誰もいない廊下に、見覚えのある男が立っていた。
しばらく会っていなかったが、少し前に名前を聞いたばかりの人物、大林夏彦だった。
「大林……久しぶりだな」
答えながら、清司郎はなぜ彼がここにいるのだと考えをめぐらせる。そしてすぐに、彼の父親がこのパーティーに招かれていたのかと思いあたった。
彼の父親は、医療の分野に見識の深い政治家として知られていて、医学会や医療関係者が集まるパーティーなどには必ず顔を出している。
「大林先生と一緒か」
尋ねると、彼は頷いた。
「今は親父の私設秘書をしてるんだ。兄貴が政治に興味がなくてね。俺にお鉢が回ってきた」
いずれは父親の地盤を継いで立候補するつもりだと暗に言ってどこか得意そうにしてみせる。
清司郎は頷いた。
彼に対しては千春の件で思うところはあるが、態度には出さなかった。彼とは高校の同級生だが、特に親しかったわけではない。
「大林先生の跡を継ぐんだな。すごいじゃないか」
あたり障りのない言葉を口にすると、彼ははははと笑った。
「まだわからねーよ。……お前の方こそ大活躍だ。さっきは質問責めだったじゃないか」
「ああ、ありがたいよ」
清司郎は頷いた。
「八神病院はますます評判になるな」
「まぁ、それは……」